中国語教育学会第6回研究会ワークショップ「中国語の反転授業に使えるデジタル教材を作る」報告

  • 日時:2015年3月7日(土)13:30-16:30
  • 場所:大阪府立大学中百舌鳥キャンパスB3棟309(CALL教室)
  • 講師:清原文代(大阪府立大学高等教育推進機構)

なお、本ワークショップはJSPS科研費26370680(代表者:木村修平)、25370642(代表者:清原文代)の助成を受けた。

1.参加者数

  • 事前登録者 17名(4名が諸事情によりキャンセル)
  • 参加者 13名

2.要旨

反転授業とは、従来の授業方法、すなわち教室で講義を聞く→家で宿題として応用課題をするという順番をひっくり返し、家であらかじめビデオ教材などで講義を視聴する→教室では教員の援助のもと応用課題に取り組む、クラスメートとの討論やグループ学習などを行うという手法である。

反転授業の実施するためには予習用の教材を準備する必要がある。本ワークショップでは以下の2点についてデジタル教材を作成するための具体的な方法を学び、さらに授業での利用法について、参加者による討論や発表を行った。

  1. 単語学習:単語を憶えるための反復練習を援助するデジタル教材を作る。使用するのはQuizlet
  2. 文法の説明:板書と音声が同期した動画教材を作る。使用するのはShowMe

講師による作例

3.反転授業形式のワークショップ

ワークショップのテーマは反転授業のため、ワークショップ自身も反転授業形式とした。

予習用の教材として、QuizletとShowMeの操作画面に説明のナレーションを入れた動画計28本(1本当たり1分弱〜6分余り)を作成し、YouTubeに限定公開でアップロードした。

ワークショップの3週間前に参加者登録を締め切り、参加者メーリングリストを作成し、ワークショップ当日まで予習用の動画のURLと説明をメーリングリストを通じて配信し、予習を促した。

ワークショップ当日は予習の度合いを自己申告してもらい、予習の度合いに応じて座席を指定し、講師と補助者によるチュータリングを中心にワークショップを行った。

4.配布資料

ワークショップ当日は2種類の資料とアンケートを配布した。

  1. 当日の進行予定を書いた紙
  2. 予習教材としてメーリングリストに投稿した内容を加筆修正した約20ページのPDFファイル(CALL教室の各パソコンに配布する形)。

2のPDFはワークショップ終了後に参加登録者メーリングリストにクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの「表示-非営利-改変不可(CC BY-NC-ND 2.1 JP)」で配布した。

  • 中国語教育学会第6回研究会 ワークショップ「中国語の反転授業に使える デジタル教材を作る」 資料
    • 上記の資料(PDFファイル)のライセンスはこのwikiのラインセンスとは異なります。
    • 資料にはワークショップの予習用として作成した動画教材のURLと参加登録者メーリングリストに投稿した内容を編集し、加筆修正したものが入っています。
    • 資料の主な箇所にはしおりを入れてあります。Adobe Readerでしおりを表示させると便利です。ウィンドウ左側にあるしおりのアイコンをクリックします。
    • 資料はテキストの検索が可能です。Windowsでしたら、ctrlキーとFキー(アルファベットのfです。ファンクションキーではありません。findの略)、MacでしたらcommandキーとFキーを押すと、検索語を入れるボックスが出てきます。

5.ワークショップ当日の概要

1. Quizletで単語カードセット作成(1時間)

  • 会場にはインターネットにつながったデスクトップパソコン36台(Windows7搭載)が設置されており、各参加者は1人1台の環境で作業を実施。
  • 予習の状況によって3つのグループに分かれて座る(事前に参加者メーリングリストで通知済み)。

前から1列目と2列目

Quizletのアカウントを取得していない方、動画教材を全く見ていない方。

  • 目標:Quizletを理解する。
    • 動画教材を見る。
    • Quizletのアカウントをその場で取得する。※補助者と講師が適宜机間巡回をして補助。
    • Quizletにログインできたら、カードセットを作成する。※補助者と講師が適宜机間巡回をして補助。

前から3列目と4列目

Quizletのアカウント取得済みで、動画教材はあまり見ていない、或いは見てもよく理解できなかった方。

  • 目標:Quizletで一人で単語カードセットを作ることができる。
    • Quizletにログインする。
    • 予習教材を参照しつつ、カードセットを作成する。※冒頭は補助者がつく。その後は講師と補助者が適宜机間巡回をして補助。

前から5列目と6列目

Quizletのアカウント取得済みで、動画教材予習済みの方。

  • 目標:Quizletの使い方を人に教えられる。
    • Quizletにログインする。
    • 特定の授業の回を想定して、カードセットを作成する。
    • Quizletのカードセットを授業でどのように使うかをグループワークで考える。※冒頭講師がつく。その後は講師が適宜机間巡回をして補助。
    • 余裕があれば、1列目~4列目に座っておられる方を補助する。

2. Quizletの単語カードセット作成の成果発表と質疑応答(20分間)

  • 作ったカードセットを自分の授業でどう活用するかについてグループワークで話し合った結果を口頭で発表した。
  • その際、グループワーク参加者が書いた板書を撮影して、グループワーク参加者に口頭で許諾を取って、ワークショップ後、ワークショップ参加者にのみメールで送付した。
  • 参加者がペアワークやグループワークでアイデアを書くために使用した正方形の糊付き付箋は、iOSのアプリのPost-it® Plusで撮影してExcelファイルに出力し、簡単なコメントをつけた上で、上記の板書と同様にワークショップ参加者にのみにメールで送付した。

3.休憩(10分間)

4. ShowMeで板書動画を作成する(50分間)

  • 1人1台の割合でiPadを貸し出す(清原科研で購入したものを使用)。参加者自身の所有するiPadの持ち込みもあり。
  • 予習教材を参照しつつ、1本3分間程度で文法項目を1つ説明する動画を作る。※講師及び補助者が机間巡回をして補助。

5. ShowMeで作った板書動画を発表する(20分間)

  • 作った板書動画をiPadを使ってポスター発表の形式で発表する。
  • 全体を2つのグループに分ける。
  • 一方のグループの人はiPadを持って教室の後ろに立つ。もう一方のグループの人は、各人好きなところへ行って、板書動画を見せてもらい質疑応答。
  • 10分経ったら交代する。

6. アンケート回答(5分間)

アンケートの結果を科研の報告書・学会発表・論文等で使用することをあらかじめ文書で断った上で、紙でアンケートを実施。 自由記述を除く集計結果はワークショップ参加者にメーリングリストを通じて還元した。

7. 中国語教育学会の紹介(5分間)

8.ワークショップに参加した木村修平研究代表者のtwitter中継のまとめ